もしかして更年期?「閉経」との関係と乗り越えるヒント

メンタルヘルス

なんだか最近、体の調子が優れない。特に思い当たる原因はないのに、急に汗をかいたり、気持ちが不安定になったりすることはありませんか? もしかしたら、それは更年期のサインかもしれません。更年期は女性の誰もが経験する自然な体の変化ですが、「閉経」との関係や、どのように乗り越えればいいのか分からないと感じる方も多いでしょう。この記事では、更年期と閉経の関係を分かりやすく解説し、心と体を楽にするためのヒントをご紹介します。

更年期と閉経、一体何が違うの?

更年期と閉経、この2つの言葉は同じように使われがちですが、実は違う意味を持っています。

更年期とは、閉経を挟んだ前後約10年間の期間のこと。この期間に女性ホルモンであるエストロゲンが大きく変動し、心や体にさまざまな不調が起こります。

一方、閉経は、生理が完全に止まってから1年間以上ない状態のことです。つまり、閉経は更年期という期間の中のひとつの出来事と言えます。

ホルモンバランスの変化が引き起こす心身の不調

更年期の不調の主な原因は、エストロゲンの減少です。エストロゲンは、体のさまざまな機能をコントロールする大切なホルモン。このバランスが乱れることで、体は大きな影響を受けます。

特に代表的な症状が、突然のほてりや発汗に見舞われるホットフラッシュです。これは、ホルモンバランスの乱れが、体温調節を行う自律神経に影響を与えるために起こります。自律神経のバランスが崩れると、めまいや動悸、息切れといった症状も現れやすくなります。

閉経後の健康リスクと向き合う

閉経は更年期の終わりではありません。閉経後もホルモンバランスの低下は続くため、更年期症状が続くこともあります。

閉経後は骨粗しょう症に注意が必要です。エストロゲンには骨を強くする働きがあるため、閉経によってエストロゲンが減少すると、骨密度が低下しやすくなります。

また、エストロゲンは血管を守る働きもあるため、閉経後は心臓や血管の病気のリスクも高まります。これらのリスクを理解し、予防的な対策をすることが、閉経後も健康でいるための大切なポイントです。

誰にも言えない心の不調と向き合うヒント

更年期は、身体の不調だけでなく、心にも大きな影響を及ぼします。理由もなくイライラしたり、わけもなく悲しくなったり、気分の落ち込みを感じることは珍しくありません。これは、女性ホルモンの急激な変化が、脳の神経伝達物質に影響を与えるために起こります。

「もしかして自分だけ?」と孤独を感じ、一人で抱え込んでしまう方も多いでしょう。しかし、これらの症状は病気ではなく、体が新しいバランスへ向かう過程で起こる自然な反応だと理解することが大切です。自分を責める必要は全くありません。

心のゆらぎを受け入れる具体的な方法

更年期の心の不調とうまく付き合うには、まず「自分に優しくすること」が重要です。完璧主義を手放し、無理をしないことを心がけましょう。

自分を労わる時間を作ること、リラックスできる時間を取り入れましょう。アロマを焚いて好きな香りに包まれたり、穏やかな音楽を聴いたり、温かいハーブティーをゆっくりと味わったり。ほんの10分でも、心と体を休ませることで、気持ちに余裕が生まれます。

信頼できる人と話すなど 一人で抱え込まず、心の内を話せる人を見つけましょう。家族や友人、パートナーなど、あなたが安心できる相手に今の気持ちを打ち明けてみてください。話すだけで心が軽くなるだけでなく、相手の理解を得るきっかけにもなります。身近な人に話しにくい場合は、同じ更年期世代の仲間が集まるコミュニティや、専門のカウンセリングサービスを利用するのも一つの方法です。

軽めの運動は、ストレス解消に効果的。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。運動によって気分を前向きにするセロトニンという神経伝達物質が分泌され、心の安定につながります。太陽の光を浴びながら散歩するのもおすすめです。

基礎体温から知る自分の体のリズム

更年期の心の安定には、体の変化を客観的に知ることが役立ちます。

毎日基礎体温を測る習慣をつけると、女性ホルモンの変化や、生理周期の乱れなどがわかります。

朝起きたときに、寝たままの状態で舌の下で測るのが一般的です。最初は面倒に感じるかもしれませんが、続けることで体のリズムが見えてきます。

「基礎体温が不安定なのは更年期の影響かも」と冷静に受け止められるようになり、不調への不安を減らすことができます。自分の体と向き合うことは、未来の健康を守る第一歩です。

症状を和らげるための具体的な対策

更年期症状は、人によってその程度や現れ方が大きく異なります。我慢せずに、自分に合った対策を見つけることが大切です。まずは、日常生活でできることから始めてみましょう。

医療の力を借りるという選択肢

もし更年期の症状が日常生活に支障をきたすほどつらい場合は、一人で抱え込まずに婦人科を受診しましょう。更年期に詳しい専門医は、あなたの症状や体の状態を詳しく診察し、一人ひとりに最適な治療法を提案してくれます。

ホルモン補充療法(HRT)とは

更年期症状の代表的な治療法の一つが、ホルモン補充療法(HRT)です。これは、更年期に不足する女性ホルモン(エストロゲン)を薬で補う治療法で、飲み薬や貼り薬、塗り薬など、さまざまなタイプがあります。

HRTは、つらいホットフラッシュや発汗、不眠といった症状を改善するだけでなく、更年期以降にリスクが高まる骨粗しょう症の予防にも効果的です。ただし、すべての人に合うわけではなく、治療の適応には個人差があるため、まずは医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で治療を始めることが大切です。

漢方薬という選択肢

ホルモン療法に抵抗がある方や、体質的に合わない方には、漢方薬も有効な選択肢となります。漢方医学では、更年期症状を単なるホルモン不足ではなく、「全身のバランスの乱れ」と捉えます。そのため、冷えやのぼせ、イライラ、不眠など、個々の症状に合わせて複数の生薬を組み合わせ、体の内側から根本的な改善を目指します。

その他のサポート

婦人科では、これらの治療法以外にも、食事や運動、睡眠といった生活習慣改善のアドバイスや、症状に合わせたサプリメントの紹介など、様々な形で更年期をサポートしてくれます。我慢せずに専門家に相談することが、つらい症状を和らげ、快適な毎日を取り戻すための第一歩となるでしょう。

毎日のセルフケアで体を整える

医療機関での治療と並行して、日々のセルフケアも非常に重要です。バランスの取れた食事を心がけましょう。大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをすると言われており、積極的に摂ることをお勧めします。また、骨粗しょう症予防のためには、カルシウムやビタミンDを意識的に摂取することも大切です。質の良い睡眠を確保することも、心身の健康を保つ上で不可欠です。就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのをやめ、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。

まとめ

更年期は、閉経を挟んだ約10年間の期間で、女性ホルモンの減少により心と体に様々な変化が起こります。ホットフラッシュや生理不順、イライラ、気分の落ち込みなど、つらい症状に悩む人も多いです。

しかし、これらの変化は病気ではなく、誰にでも起こりうる自然な体のプロセスです。症状がひどい場合は、我慢せずに婦人科を受診し、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などの治療を検討しましょう。

また、バランスの取れた食事や適度な運動、質の良い睡眠といったセルフケアも非常に大切です。更年期はネガティブなものではなく、自分の体と向き合い、ケアする良い機会だと捉えましょう。

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