【増量期】筋肉を増やすための「オーバーカロリー」の正解と注意点

エクササイズ

体を大きくし、筋肉量を増やす「バルクアップ」の期間において、最も重要になるのが摂取カロリーのコントロールです。筋肉は、食事から得たエネルギーと栄養素を材料にして作られます。もし、一日に消費するカロリーよりも食事から摂取するカロリーが少ない状態が続けば、体はエネルギー不足に陥り、筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとしてしまいます。これでは、どんなにハードな筋トレを頑張っても、筋肉を増やすどころか、逆に減らしてしまうことになりかねません。そのため、筋肉を効率よく成長させるためには、消費カロリーを上回るだけの十分なカロリーを摂取する「オーバーカロリー」の状態を意図的に作り出す必要があるのです。

カロリー収支と筋肉の成長

筋肉が成長するためには、体が「アナボリック」と呼ばれる合成状態にあることが不可欠です。このアナボリックな状態を作り出すための大前提となるのが、カロリー収支をプラスにすることです。カロリー収支とは、食事などから摂取したカロリーから、基礎代謝や運動などで消費したカロリーを差し引いたものです。このカロリー収支がマイナスになると、体はエネルギー不足を補うために、脂肪だけでなく筋肉も分解してしまいます。筋肉を分解から守り、さらに大きくしていくためには、常に体がエネルギーに満ち溢れている状態、つまりオーバーカロリーの状態を維持しなければなりません。摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで、初めて筋肉は成長するための十分な材料とエネルギーを得ることができるのです。

メンテナンスカロリーを基準にする

オーバーカロリーを実践する上で、まず把握しなければならないのが「メンテナンスカロリー」です。メンテナンスカロリーとは、体重が増えも減りもしない、現在の体重を維持するために必要な一日の摂取カロリーのことです。この数値を基準にして、どれくらいカロリーを上乗せすれば良いかを決定します。メンテナンスカロリーは、年齢、性別、身長、体重、そして一日の活動量によって人それぞれ異なります。まずは、自分のメンテナンスカロリーを計算サイトなどを利用して大まかに把握することが、バルクアップを成功させるための第一歩となります。この数値を無視して闇雲に食べてしまうと、必要以上に体脂肪がついてしまう原因となるため注意が必要です。

増量期における適切な摂取カロリーの目安

オーバーカロリーが必要だからといって、とにかくたくさん食べれば良いというわけではありません。筋肉が一定期間に合成できる量には限界があり、限界を超えて摂取した余剰なカロリーは、すべて体脂肪として蓄積されてしまいます。せっかく筋肉をつけても、その上に大量の体脂肪が乗ってしまっては、理想の体型からは遠ざかってしまうでしょう。そのため、バルクアップ期においては、体脂肪の増加を最小限に抑えつつ、筋肉の成長を最大限に引き出すための、適切な「カロリーの上乗せ幅」を見極めることが非常に重要になってきます。

緩やかなカロリープラスを意識する

筋肉を増やしつつ、体脂肪の増加を抑えるためには、メンテナンスカロリーに対して、およそ10パーセントから20パーセントほどのカロリーを上乗せするのが理想的とされています。例えば、メンテナンスカロリーが2500キロカロリーの人であれば、一日あたり250キロカロリーから500キロカロリーを追加で摂取する計算になります。これ以上のカロリーを摂取しても、筋肉の成長速度が劇的に上がるわけではなく、単に体脂肪が増えやすくなるだけです。まずは少なめの上乗せから始め、体重や体脂肪率の推移、鏡で見た体の変化などを観察しながら、自分にとって最適な摂取カロリーを見つけていくことが、美しい体を作るための鍵となります。

体重増加のペースを指標にする

適切なカロリー摂取ができているかどうかを確認するためには、体重の増加ペースを指標にするのが効果的です。理想的な体重増加のペースは、一ヶ月に体重の1パーセントから2パーセント程度とされています。体重60キログラムの人であれば、一ヶ月に600グラムから1.2キログラム程度の増加を目指すのが良いでしょう。もし、これ以上のペースで体重が増えている場合は、摂取カロリーが多すぎて体脂肪が過剰についている可能性が高いため、食事の量を見直す必要があります。逆に、体重が全く増えない、あるいは減ってしまう場合は、摂取カロリーが不足しているため、食事の量を少し増やす必要があります。定期的に体重を量り、ペースを確認しながらカロリーを調整していきましょう。

PFCバランスを最適化する

オーバーカロリーを実践する際、カロリーの量だけでなく、その「質」も非常に重要になります。摂取するカロリーが、どのような栄養素から構成されているかによって、筋肉の成長度合いや体脂肪のつき方は大きく変わってきます。筋肉の材料となるタンパク質、エネルギー源となる糖質、ホルモンの材料などになる脂質、これら三大栄養素のバランスである「PFCバランス」を最適化することで、より効率的で質の高いバルクアップを実現することができます。

筋肉の材料となるタンパク質

筋肉を大きくするための最も重要な栄養素がタンパク質です。筋肉は常に合成と分解を繰り返しており、合成が分解を上回った時に初めて筋肉は大きくなります。この合成を促すためには、十分なタンパク質の摂取が欠かせません。バルクアップ期においては、一般的に体重1キログラムあたり1.6グラムから2.2グラム程度のタンパク質を摂取することが推奨されています(強度の高いトレーニングを行う層では、最大2.5グラム程度までを目安にします)。体重70キログラムの人であれば、一日に140グラムから175グラムのタンパク質が必要になる計算です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食バランス良く取り入れ、不足分はプロテインなどのサプリメントを活用して補うと良いでしょう。

重要なエネルギー源となる糖質

タンパク質と同じくらい重要なのが、エネルギー源となる糖質です。糖質を摂取すると、インスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは、血液中の栄養素を筋肉の細胞へと運び込む働きがあり、筋肉の合成を強力に後押ししてくれます。また、糖質は筋トレ時の主要なエネルギー源となるため、糖質が不足していると、力強いトレーニングを行うことができず、筋肉に十分な刺激を与えることができません。さらに、エネルギー不足に陥った体は、筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとしてしまうため、糖質の不足はバルクアップにおいて致命的と言えます。白米やパスタなどの炭水化物をしっかりと食べ、常に筋肉をエネルギーで満たしておくことが大切です。

増量期における食事のとり方の工夫

一日に必要な摂取カロリーとPFCバランスを計算できたら、次はその栄養素をどのようにして体に取り入れていくかが課題となります。一度に大量の食事をとることは、内臓に大きな負担をかけるだけでなく、栄養の吸収効率も悪くしてしまいます。また、バルクアップ期には、とにかく何でも食べてカロリーを稼ぐのか、それとも食事の内容にこだわるのかという、食事のアプローチ方法についても考える必要があります。筋肉を効率よく、そして健康的に増やしていくためには、食事のとり方にも工夫を凝らす必要があるのです。

食事の回数を増やす

効率よく栄養を吸収し、常に体をアナボリックな状態に保つためには、一日の食事回数を分けることが推奨されます。一度に大量の食事をとると、消化吸収が追いつかず、余剰なエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなります。また、空腹の時間が長く続くと、体はエネルギー不足を補うために筋肉の分解を始めてしまいます。これを防ぐためには、一日3回の食事に加えて間食を2回から3回取り入れ、トータルで5回から6回に分けて食事をとる手法が、血中のアミノ酸濃度を一定に保ち、効率を最大化する観点から推奨されます。小分けにして食べることで、胃腸への負担を減らしつつ、常に血中の栄養レベルを高く保つことができ、筋肉の成長を最大限にサポートすることができます。

クリーンな食事を心がける

バルクアップの方法には、大きく分けて二つの考え方があります。一つは、ジャンクフードなども含め、とにかくカロリーの高いものを食べて体重を増やす「ダーティバルク」です。この方法は体重は増えやすいですが、体脂肪も大量についてしまうというデメリットがあります。もう一つは、鶏胸肉や玄米、野菜など、栄養価が高く健康的な食材を中心にカロリーを摂取する「クリーンバルク」あるいは「リーンバルク」と呼ばれる方法です。この方法は、ダーティバルクに比べて体脂肪の増加を抑えつつ、質の高い筋肉をつけていくことができます。長期的な健康や、その後の減量期の負担を考えると、できる限りクリーンな食事を心がけ、質の高い栄養素で体を満たしてあげることが重要です。

まとめ

筋肉を増やすバルクアップ期において、消費カロリーを上回るエネルギーを摂取する「オーバーカロリー」は、絶対に欠かすことのできない条件です。しかし、ただ闇雲に食べるのではなく、自分のメンテナンスカロリーを把握し、そこから適切なカロリーを上乗せすることが重要です。また、筋肉の材料となるタンパク質や、エネルギー源となる糖質を中心に、質の高い栄養素をバランス良く摂取することも忘れてはいけません。食事の回数を増やし、できるだけクリーンな食材を選ぶことで、体脂肪の増加を最小限に抑えながら、効率的に筋肉を成長させることができます。焦らず、自分の体の変化をしっかりと観察しながら、最適な食事管理を見つけて、理想の体型を手に入れましょう。

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